衝撃的な結果となった米大統領選も、時間が経つにつれてその喧噪も徐々に落ち着きを見せています。
しかし本番はこれから。
アメリカ情勢のみならず、世界各国が政治的文化的に大きなうねりを見せる中、私たちはどんな未来を見通せるのか。
注意深く関心を持っていかねばならないなと思います。
そんなふうにあれやこれやとメディアが騒ぐ中、ちょっと違う意味で興味を引いた報道がありました。
■参考記事
ガガ大迷惑の日テレ「酷過ぎる」誤訳 「Love trumps hate」を「トランプ嫌い!」
これなんですが、英語に堪能な人はすぐに違和感に気づくんでしょうが、パッと見、私なんかにはわかりません。
ラブ、トランプ、ヘイト。
その3つの単語とその背景から反射的に「反トランプ」のプラカードなのだと理解してしまいます。
しかしそれは(半分)間違いでした。
つまり「trump」という、ふだん私たちがあまり動詞として認識していない英単語が思い込みを作り出していたようです。
「トランプ」なんて単語、日本では名詞としてゲームのトランプか、米大統領候補のトランプ氏くらいにしか使いません。
「~を負かす」「~に勝る」という動詞としては知識としてあったとしてもピンときませんよね。
記事にもあるように「三単現のs」や「LOVE」の位置に気づけばわかるんでしょうが、う~ん勉強します。
確かにこういうアーティストらしいちょっとした言葉遊びって、キャッチコピーやタイトルコピーには定番ですよね。
曲のタイトルなんかでもよく目にします。
例えばこんな超有名曲。
THE BEATLES – Please Please Me
中学の時、友達にタイトルの仕掛けを教えてもらった時にはすごく感動しました。
このキャッチーな曲に「プリーズ・プリーズ・ミー」なんていう抜群に語呂のいい響き。
歌詞の意味なんて知らずとも十分だったのですが、
最初の「プリーズ」は、なじみのある「どうぞ」って意味、でも次の「プリーズ」はそうじゃない。
「喜ばせる」とか「満足させる」って意味の「please」なんだぞって聞いたときは「おおっ」てなったなあ。
でまた「THE BEATLES」ってバンド名からして遊びゴコロたっぷりなんですよね。
そのあともどんどん洋楽に興味を持つようになって、今でもいろいろと聴き漁っていますが、
こういう小ネタは尽きなくて、ほんとにおもしろいです。
言葉遊びにもいろいろあって、「ダブルミーニング」に「アナグラム」「もじり」や「回文」など手法もさまざま。
暗喩を駆使したシリアスなものからユーモアたっぷりなおふざけまで幅広いです。
HIP-HOPなんかではライミングといって、ラッパーが「韻」を踏みまくるのをよく見ますね。
楽しいです。
せっかくなので思いついたものをいくつか挙げておきましょう。
David Bowie – Aladdin Sane
「Aladdin Sane」というタイトルは「a lad insane」つまり「狂った若者」を読み変えてできたといわれています。
手法でいうと「ぎなた読み」に近いでしょうか。
Miles Davis – What I Say
収録されているアルバムタイトルは「Live-Evil」。
上から読んでも下から読んでも…な、回文になっています。
Syd Barrett – Terrapin
収録アルバムタイトルは「The Madcap Laughs」。
邦題がついており、「帽子が笑う…不気味に」となっています。
madcap=狂った帽子、とでもいったところでしょうか。
しかし「madcap」という単語には本来「向こう見ずな,衝動的な」といった意味があり、名詞としてもそのような人のことを指すようです。
アーティストがアーティストですので、雰囲気やコンセプトを大事にしたのでしょうか。
当時のレコード会社がどうしてこう訳したのか、どんなやり取りがあったのかすごく気になりますね。
(京都オフィス 小嶋)